これまで久保建英(たけふさ)選手のお父さん久保建史さんの著作「おれ、バルサに入る!」を分析しながら、久保建英選手を育てた教育方法について考察してきました。
久保建英選手は、この5/3のFC東京の試合でトップチームデビューしました。
さらに、U-20W杯代表にも選出されています。
お父さんの久保建史さんの著作を読んでその教育方法を参考にさせて頂いている身としては、久保建英選手の活躍は非常に嬉しく、今後の更なる活躍を期待しているところです。
直近ではトップチームでの初得点、U-20 Wカップでの活躍、将来的にはバルセロナトップチームでの活躍、日本代表Aチームでの活躍と、勝手に期待してしまう部分もありますが、小さい子供を育てる父親として改めて建史さんの著作から、親の教育から現在の活躍につながっている部分があるのかを再度考えてみたいと思います。
目次
直近の久保建英選手の活躍と評価
まずは、直近の久保建英選手の活躍とその評価をピックアップしてみます。
サッカーダイジェスト FC東京・篠田監督が「スタメンでもいける」。久保に文句なしの合格点
サッカーダイジェストの記事で、[ルヴァン杯]FC東京 1-0 札幌/5月3日/味スタでトップチームに初起用したFC東京・篠田監督のコメントを以下のように紹介しています。
「今日はウタカが前線でタメを作ってくれた。人とボールは動いたので、あとはゴールを奪うところが足りなかった。クオリティの高い建英が入り、攻撃のスイッチが入った。1-0だったので(投入する)時間は遅れた。」
「物怖じせず前を向くし、スルーパスを出すタイミングも3回くらいあった。みなさんが見た通り、とてもいい評価です。」
「後半からいっても良かったし、スタメンでもいける。ただ、まだチームに帯同して間もないし、J3も出てるし、いろいろ見せたいところはあるけど、チームとしても彼としても、今日はあのくらいの時間が良かったと思う」
ゴールこそ生まれなかったものの、トップチームでのデビュー戦で確実に爪痕を残した。指揮官も「これから彼の姿をいっぱい見られると思う。まずはU-20ワールドカップで頑張ってほしい」
U-20日本代表の内山篤監督の評価
自分のできること、できないことが整理されていて、本当に自分のことをよく分かっている選手。だから無理なプレーがないし、自然にやれる
味方を使って自分を生かすことが分かっている
サッカーダイジェスト「U-20W杯へ異例の飛び級招集。指揮官は15歳の久保建英をどう見ているのか?」
U-20W杯へ異例の飛び級招集。指揮官は15歳の久保建英をどう見ているのか?では、久保建英選手の適応力について以下のように触れています。
久保と言えば、名門・バルセロナの下部組織で磨き上げたテクニックが真っ先に思い浮かぶ。もちろんそこを評価したうえで、指揮官が着目してきたのは適応力だ。
適応力と聞いて思い浮かぶのが、3月上旬に行なわれた国内キャンプでのある出来事だ。
初日の紅白戦で、2トップの一角を務めた久保だったが、上手くボールを呼び込めずインパクトを欠いてしまった。練習後、「正直思ったよりできなかった。もうちょっと早くボールを受けに行く動きが欲しかった」と自らの出来に「失格」の烙印を押したが、翌日に行なわれたFC東京との練習試合では一転して好プレーを連発する。その試合では、U-20代表として初ゴールを奪っただけでなく、最前線から中盤までを降りてパスを要求し、チャンスメイクまでこなした。劇的にパフォーマンスが向上した背景には「昨日終わった時点で、チームメイトに『こういう動きをしたい』と伝えていた」ことがある。つまりひとつの失敗から課題を見出し、適応するための道筋を自ら切り拓いたのだ。
サッカーダイジェスト紙で取り上げられた2つの要素
サッカーダイジェストの記事「久保建英は、具体的に何が凄いのか? 今さら聞けない逸材の真価とは」では、2017/5/3に15歳でFC東京トップチームデビューした久保建英選手の凄さを取り上げています。
この記事では、久保建英選手の優れた点として、以下の2つの要素を兼ね備えている点を挙げています。
シュート精度の絶対的な高さ、ゴール前での沈着さといったストライカーとしての武器
彼我に対する観察力に基づくフットボーラーとしての判断力
サッカーダイジェスト【FC東京】久保建英が札幌戦でトップチームにデビュー。なにより光ったのは攻撃力ではなく…
サッカーダイジェスト【FC東京】久保建英が札幌戦でトップチームにデビュー。なにより光ったのは攻撃力ではなく…では、[ルヴァンカップ4節]FC東京 1-0 札幌/5月3日/味スタでのトップチームデビューのプレー内容を以下のように分析しています。
トータル的に見れば光ったのは戦術的インテリジェンス。守備の局面でのポジショニングや追い込みだった。攻撃面ばかりが注目されるが、久保の最大の武器は「サッカーIQ」なのかもしれない。
久保建英選手の優れた点
これまで見てきた久保建英選手の活躍と評価から、その凄さ、優れた点をまとめてみます。
技術・テクニック
まずは、技術です。
15歳にして、Jリーグのトップチームでプレーできるだけの技術・テクニックがあります。
現在の体格が170cm、63kgと成人男性の平均に近くなってきてはいますが、プロサッカー選手としてはまだ小さい方ではないでしょうか。
去年は身長が7cm伸びたそうですが、15歳ですからまだまだ成長期で体も十分に出来上がってはいないでしょう。
U-20ドイツ代表との試合でも、フィジカルではかなわないと自己分析しながらも、4試合で2ゴール・2アシストと活躍できたように、成長途中のフィジカルを補えるだけのテクニックを身に付けています。
判断力・戦術眼
15歳でもU-20日本代表に飛び級で選出され、Jリーグトップチームに出場できる理由は、U-20日本代表・内山篤監督次の言葉に凝縮されていると言ってもいいでしょう。
「自分のできること、できないことが整理されていて、本当に自分のことをよく分かっている選手。だから無理なプレーがないし、自然にやれる。」
そしてサッカーダイジェスト紙では「彼我に対する観察力に基づくフットボーラーとしての判断力」と表現されています。
自分自身のことが理解できていて、かつ味方も敵もしっかりと観察して自分ができるプレーを判断できる、しかもこれを試合の流れの中で把握できる戦術眼があります。
コミュニケーション力
コミュニケーション力については、国内キャンプの様子を紹介したサッカーダイジェストの記事が参考になります。
初日の紅白戦で、2トップの一角を務めた久保だったが、上手くボールを呼び込めずインパクトを欠いてしまった。練習後、「正直思ったよりできなかった。もうちょっと早くボールを受けに行く動きが欲しかった」と自らの出来に「失格」の烙印を押したが、翌日に行なわれたFC東京との練習試合では一転して好プレーを連発する。その試合では、U-20代表として初ゴールを奪っただけでなく、最前線から中盤までを降りてパスを要求し、チャンスメイクまでこなした。
劇的にパフォーマンスが向上した背景には「昨日終わった時点で、チームメイトに『こういう動きをしたい』と伝えていた」ことがある。つまりひとつの失敗から課題を見出し、適応するための道筋を自ら切り拓いたのだ。
初日の紅白戦では思ったようにプレーできなかったが、翌日の練習試合では好プレーを連発できるようになったという内容です。
自分のプレーの失敗から課題を見い出せる分析力、これは判断力とも言える部分ですが、サッカーダイジェスト紙では「適応力」と表現しています。
この部分を読んでふと思い出したのは、お父さん久保建史さんの著作で触れられていたある教育方針です。
「年齢に関係なく言いたいことを言えるように育てる」というものです。
日本人、特に長男によくみられる傾向ですが、自分の言いたいことをグッと我慢して堪えてしまうことがよくあります。
私も長男なので自分自身にこういう傾向があるのはよくわかります。
人間関係上では美徳と思われる部分もあると言えますが、サッカーでは必ずしもよいことではありません。
「自分がこういうプレーをしたいから、こういうプレーをしてくれ、こういうボールをくれ」というコミュニケーションが必要です。
サッカーはチームプレーですから、チームメイトとのコミュニケーションが必要不可欠で、非常に重要になります。
そういう場では、自分の要求を正直に仲間に伝えるということは非常に重要になります。
ただ自分ひとりだけが年齢が低かったりすると縮こまって言いたいことが言えないということもありがちです。
しかしU-20日本代表での様子を見ると、自分よりも5歳近くも上のチームメイトに対しても臆することなく自分の意見を言っている久保建英選手の様子がうかがえます。
久保建英選手のお父さん建史さんの教育方針から学ぶこと
以前、バルセロナ・カンテラに入団した久保建英くんを育てた4つの秘訣という記事を書きました。
この時はバルセロナの下部組織バルセロナ・カンテラに入団できた理由を考察しました。
その理由として以下の4つを上げました。
1.お父さんがコーチをやった
2.サッカーを始める時期が早かった
3.毎日練習した
4.「バルサに入る」と目標を決め、そのための対策を練って実行した
現在の久保建英選手の活躍を見ると、もう一つ追加したい点があります。それは、
5.とにかくたくさんの試合に出場した
という点でしょうか。
技術・テクニック
久保建英選手の優れた点で取り上げた「技術・テクニック」については、「3.毎日練習した」がその成長に大きく寄与しているでしょう。
毎日の練習で「1.お父さんがコーチをやった」という点も大きかったですね。
自分ひとりだけでは気が付きにくい弱点や苦手な点を指摘して、それを練習に取り入れることが可能になりますので。
判断力・戦術眼
お父さん建史さんの著作には、出来るだけたくさんの試合に出場する機会を設けて、お父さんもその試合に同行し試合内容をチェックし、その試合の動きや反省点などをできるだけ久保建英選手に話していたという記載がありました。
そして親から一方的に伝えるのではなく、「今日どうだった?」「どこがうまくいかなかった?」というように問いかけながら話をしていたそうです。
練習だけでは分からない苦手なところ等を客観的な目線で把握して、それを子供に伝えるとともにそれを子供自身が理解しているかを問いかけで行っていたのです。
非常にたくさんの試合をこなしながら、その試合ごとの反省点をまとめるという繰り返しが類いまれな判断力・戦術眼を培ったのでしょう。
コミュニケーション力
何事にも物怖じせずに「長男らしくない長男にしたい」というのが久保建英選手のお母さんの教育方針だったそうです。
長男・長女によくみられる性格として「自分のやりたいこと、言いたいことを言わずに我慢する」というところがあります。
特に年上の人に向かっては言いにくかったりします。
久保建英選手は長男ですが、そういった長男らしさのない子供に育てたいという教育方針で、年上の子供と一緒に触れ合う・遊ぶ機会の多い幼稚園を選び、年齢関係なく遊べる自主保育グループに所属したりしました。
こういう遊びを通して年齢の異なる子供とコミュニケーションをとることで、サッカーをプレーする上でも年齢関係なく自分の主張をするようになったそうです。
また、「2.サッカーを始める時期が早かった」おかげで周りよりも上達が早く、そのおかげで自信を持ってプレーでき、物怖じせずに自分の意思を表現してきたというのも大きかったでしょう。
まとめ
お父さんの建史さんは、その著作に「18歳になったときに完成した選手となるように、小さいうちから将来を見据えて今の時期はどのような練習がよいのかを考え取り組んできた」と書かれています。
久保建英選手は現在15歳ですが、お父さんが思い描いてきた姿に近い形で成長していると思います。
どうしても周りは期待の目で見てしまいますが、試合後の受け答え等を見る限りはしっかりと自分自身を見つめて一歩一歩成長していっているようです。
いちサッカーファンとしては、久保建英選手の成長と今後の活躍に期待しつつ、いち父親としては久保建史さんの教育方針を参考にしながら、できるだけ子供にとって良い環境を用意できるようにしたいところです。
久保建英選手がどのような幼少期を過ごしてどのような練習を行ってバルセロナ・カンテラに入団できるようにまでなったのかを知りたい、またサッカー少年・少女の親として子供をどう育てたらいいのかと教育方針の参考にしたいという方には、お父さんの建史さんの著作をおススメします。